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自分の体力に合わせた3つのレベルで山を選ぶコツ

自分の体力を知れば、登山時間が分かって山も簡単に探せます。
山のガイドブックを眺めて、行ってみたいと思ったあの山、この山。
でも、果たして自分に登れるかしらん。判断するには、どのくらいの時間で行って帰ってこられるのか、時間を指標にするのが最も確実だ。

基本的に登山専門のガイドブックのコースタイムは、信用していい。
中高年の登山愛好家が多いため、一般的なタイムより余裕を見て、15分程度長めに記されているからだ。
登山および下山の時間は7時間以内、休憩時間1時間をプラスして、トータルで8時間。これが日帰りで行って帰ってこられる上限の時間。

また、自分の体力から時間を割り出す方法もある。まず、1分間、最大限の速さでどのくらいの距離を歩けるかをチェック。そこから1分間の最大運動強度を割り出して、体重、登山の運動強度、山の標高などを加味して時間を算出する。1分間で歩ける距離別に、適した山のレベルとトータルにかかる時間は、下の表の通り。ここで紹介する山のレベルは3つ。

標高でいうと、500mの入門編、1000m前後の初級編、1500m以上の中級編だ。経験の少ない登山者が日帰りで行って帰ってこられるレベルとしては、この3つが適当だろう。
初級編の登山にトータル8時間以上かかってしまう場合は、入門編の山からスタート。中級編に8時間以上かかるなら、やはり初級編からチャレンジを。
それぞれの山の特徴と楽しみ方、また、各レベルに応じた服装や装備のポイントなども紹介しておく。山をチョイスするときの参考にしてほしい。

歩行速度 最大運動強度 量大運動強度 レベル 所要時間
(m/分) (kcal/kg/分) (METs) (体重60kg)
63 0.05 2.9 500m入門 7:28
83 0.06 3.4 6:23
99 0.07 4 5:37
104 0.08 4.6 5:02
109 0.09 5.1 4:35
114 0.1 5.7 100m1初級 7:28
119 0.11 6.3 6:53
124 0.12 6.9 6:23
129 0.13 7.4 5:58
134 0.14 8 1500m中級 7:56


入門 ハイキングスタイル
3~4時間で登れる山(500m)
人里が近く、安心できる山。
人間の生活圏である山や丘陵、小川や池、雑木林や田園。これらの総称を里山という。入門レベルでは、これらの里山のハイキングがおすすめだ。頑張って頂上を目指すというより、気軽にぶらぶら散策するイメージ。樹木や花の写真を撮ったり、バードウォッチングなどを犠能しながらハイキングを楽しもう。主に見られる植物は、タブノキ、シラカシ、ヤブツバキなどの広葉樹林。四季折々の表情が見られる。ただし、道標などか整備されていない箇所もあるので、低山だからといって油断はしないこと。

身軽に楽しむ散策スタイル
登るというより、散策するという感覚なので、動きやすいカジュアルウェアに、靴はトレランシューズなどでも可。水分は必要だが、里山周辺には郷土料理の店なども多い。食料は好みのおやつ程度でも十分だ。


初級 トレッキングスタイル
5~6時間で登れる山(1000m)
週1でしっかり登れる山。
1000mクラスの山になると、いよいよトレッキングの風情が出てくる。首都圏からの日帰り範囲でいうと、奥多摩などにある山々が、これに相当する。このレベルの山の稜線は開かれていて、見晴らしのいいポイントも数多い。植生はやはり広葉樹林。ブナ、ミズナラ、クヌギやケヤキなどが主に見られる。夏のシーズンは縁の美しさ、秋になれば見事な紅葉が楽しめる。ちなみに初級者のうちは、単独では山に行かずに人の多い週末に出かけることがポイント。また、登るルートと下山のルートを同じにすると時間が読みやすい。

トレッキング王道スタイル
食料と水分はもちろん基本。雨具やヘッドランプも必携。服装は、吸湿速乾タイプのウェアがベター。また、初級者は下りで転倒することも少なくないので、軽量タイプのポールを持っていくと、下山がラク。


中級 登山スタイル
6~8時間で登れる山(1500m)
準備万端で行きたい山。
1500m以上の山では植生がガラリと変わり、シラビソ、コメツガ、トウヒなどが多い針葉樹林帯となる。丹沢周辺か、2000mレベルでは谷川岳が中級編に相当する。まずます本気モードの山である。このクラスの山になると、陽が沈まないうちに帰ってこられるだけの体力が必要。最長でも4時間くらいで頂上に辿り着ける体力を身につけてから挑戦したい。
いわゆる高い木が育たない森林限界点は本州の場合は1700m以上。これより高くなると岩や石がコロゴロした岩稜帯となる。踏破したときの達成感は大。

本気登山の中級レベル
夏場でも風を通さないウインドブレーカーは必携。山頂付近で雨風にさらされることもあるからだ。靴は岩積帯を歩くときにバランスをとりやすい、ソールが厚くて硬いものを選ぶ。エネルギーバーなど行動食も必須。