登山にかかわる用語を詳しく解説
類似用語登山とトレッキングと山歩きとハイキング
登山とは山に登る行為全般を意味し、英語ではマウンテニアリングと訳される。そのなかには、岩場を登るクライミングから、トレッキング、ハイキングをも含む。
トレッキングとは登山道(トレイル)がつけられた山中を歩くことであり、山頂に立つ目的よりも行為をさす。ハイキングとは、本来、クライミングに対しての言葉で、装備や技術を必要としない山歩き全般のことであるが、日本では誰でも容易に行くことができる低山の行楽を指す。
尾根と稜線
尾根とは、山頂など山の上部から下部へと伸びる、谷と谷を隔てた地形をいう。造山運動による収縮や浸食などにより、高い部分が形成される。また、山頂と山頂を結ぶ尾根を主尾根、または稜線といい、大きな山脈の背骨を形成する。山脈を遠方から眺めたときにいくつもの峰々が連なるスカイラインを形成するのが稜線で、アップダウンを繰り返し、最後に稜線は尾根の一部となり、いくつかの支(被)尾根となって山麓へと伸びていく。
コルと鞍部と峠
山のピークとピークを結ぶ稜線上の最も低くなった場所で、馬の背中に人が乗るための座席、すなわち鞍に形状が似ていることから、鞍部とも呼ばれる。しかし、鞍部の形状が緩やかなのに対し、コルは比較的、急峻でスケールが小さい場合に使うことが多く、さらに急峻で小さくなると窓などと呼ぶ場合もある。稜線へ上がる道は、この低くなった部分をめざしてつけられることが多く、稜線を横断して乗り越え、反対側へと下る道がつけられている箇所を峠という。
ガレ場とザレ場
ガレ場とは崩落や堆積などにより、コブシ大ほどの大きさの石がゴロゴロと不安定に集まっている場所。それに対し、ザレ場とは、それよりもさらに小さく粒の細かな砂礁が集まっている場所で、足元が滑りやすく崩れやすい。ガケの崩落や谷筋の末端部などに多く、古い砂礁の地層が稜線上にむき出しになっている箇所もある。
乗越と山の肩
峠に通じる道は、そもそも人やモノの往来による生活道であった。それが今、登山道となっている。乗越とは、人などが山や稜線をまさに乗り越えて反対側へと下りることか可能な場所をいう。また、山を人に見立てた場合、ピークが頭部であり、山の肩とは山頂部から少し下った比較的平らな箇所のことで、道がつけられている場合が多い。
登山関連の用語集
アイゼン靴底に装着する金属でできた爪。硬い雪や氷の上を歩くときに滑り止めのために使う。
アタックザック
ある地点(山小屋や登山道の途中)に荷物を置いて、身軽に山頂などを目指すとき、必要なものだけ入れて使う小型のパックパック。「サブバッグ」ともいう。
アルコールストーブ
燃料用アルコールを使う携帯用コンロ。火力は弱いが、構造がシンプルで軽量なものが多い。基本的には1人または2人用に設計されている。
機能性タイツ
段階的な着圧によって血流を促したり、関節や筋肉をサポートするタイツで、用途によって使い分ける。なかには、運動後の疲労回復を促すために作られているものも。
ゲイター
ヒザ下から足首を覆うカパーのこと。泥や雪がブーツに入らないように、またパンツの裾が汚れないようにするためのもの。 スパッツともいう。
コッヘル
携帯用の小型調理器具。語源はドイツ語で、「コッフェル」、「コッヒェル」ともいう。円筒形で、側面に沿うように折りたたむ取っ手が付いている場合が多い。
コンパーチブルパンツ
ジッパーによってロングパンツの丈を取り外し、長さを調節することができるパンツ。「ジップオフパンツ」ともいう。
シングルバーナー
ガスやガソリンが燃料の携帯用コンロ
スタッフバッグ
小物やウエアを収納するための袋
タープ
日よけ、雨よけのナイロンシート。テントを張る場所が限られる沢登りなどでは、小型のタープだけを持っていくことも。大型のものはキャンプなどで使われる
ツエルト
登山用の小型軽量テントのこと。一時的に雨や風をしのぐため、かぶったり、木の間やトレッキングポールを使って張ることができる。 小さくて携帯性があるので、一般的には万が一の不時露営(ピパーク)の際に有効。
トレッキングポール
山登りで使う杖のこと。これをつきながら歩くと、足の負担が軽くなる。また、足場の悪いトレイルでも重心がブレにくいので、疲労感が軽減できる
ハーネス
クライミングなどのときに使う安全ベルトのこと。パックパックを体にフィットさせて固定するために、ショルダーストラップから出ている着脱ベルトや腰ベルト部分のことも「ショルダーハーネス」や「ウエストハーネス」という。
ハイドレーション
ウォーターバッグからつながるチューブから必要に応じて、歩きながら水分を補給する方法
ピッケル
雪山や氷河などや登高する際に使用するつるはしのような杖。氷雪の斜面歩行のための手がかりやステップを刻んだり、滑落を防ぐ支点となったりする。
ベースレイヤー
直接肌に触れるアンダーウエア。登山する際は保温性があり、かつ汗を吸って、素早く乾く素材のものが適している。
ベンチレーション
換気機能のこと。ウエア内の温度や湿度を快適に保つために、ファスナーの開け閉めなどでウエアに空気をとおせる機能。
ミドルレイヤー
ベースレイヤーとアウタージャケットの間に着用するウエア。 フリースなどの保温性のあるものや透過性が備わっているものがある。
レイヤリング
ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターなどを重ねて、さまざまな気候や状況に対応するようウエアを着用すること。
