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登山に合わせてバックパックのパッキングを工夫する方法

みなさんの実際の積載力という側面から考えると、個人個人の積載力に許容限界というようなものがあって、その能力を向上させるにはかなり時間がかかる。

だから出かける前に、自分のバックパックの重さを量ってみることをすすめている。家庭用の体重計に乗って自分の体重を量り、次にそのままバックパックを持ち上げて増えた分をバックパックの重さとすると計測誤差の少ない量り方ができる。 そこでバックパックの重さの目安だが、感覚では「6キロ未満」「6-10キロ」「10-20キロ」「20キロ超」あたりの区分けがいいのではないかと思う。それが「日帰り」「小屋泊まり」「小屋泊まり縦走」「本格登山」に対応する積載力といえそうだ。

総合的な山歩きの能力としては、見た目のスピードより、行動時間10時間(休憩も含めて) の積載能力を向上させる努力の方が意味を持ってくる、と考えている。中高年から山登りを始めた女性の場合でも、時間をかけて体を作っていけば10キロを超えるところまで、つまり二泊とか三泊の小屋泊まり縦走までは、だれにでも実現可能領域と考えていい。 ところで、山屋さんはどうしてバックパックのジャストサイズにこだわるのかと憶測すると、パッキングという技術にこだわっているからだろう。

山行に合わせて適切なパッキングを
防寒着やレインウエア、着替えや緊急時用グッズなど、登山には多くのアイテムを持参する必要がある。ただやみくもに詰めるだけでは、いざというときに取り出しにくいだけではなく、重心のバランスが悪くなり、体を疲れさせる原因にもなる。それらを解消し、より快適に登山を楽しむために必要なのが上手なパッキングだ。ここで紹介するパッキングのコツを参考にしながら、行動スタイルに合わせて、自分らしくカスタマイズしてみよう。

最上部
行動中の使用頻度が高いものは雨ぶたへ
地図や小銭入れ、汗を拭くタオルやヘッドライトなど、行動中にしばしば使う機会のあるアイテムは、取り出しやすい場所に入れるのが鉄則。雨ぶたに収納しておけば、毎回バックパックを開く必要もなく、取り出しやすい。濡れては困る地図などは、万が一のために防水ケースに入れておくと安心。外ポケットがある場合は、こまめに水分補給できるように水筒などを入れておこう。

上部2段目
緊急時などに必要なアイテムは上部に収納
突然の天候の変化や不慮の事故など、いざというときにすぐに取り出す必要があるものはバックパックの上部に収納しよう。アイテムでいうと、レインウエアやファーストエイドキットなど。アイテムを探すためにバックパックの中を何度も探る、なんてことがないように、手を入れればすぐに見つけられる位置に収納すること。行動食やザックカバーなども上部にしまっておくと安心だ。

中段背中側
重量があるアイテムなどは背中の近くへ
パッキングで大切なポイントのひとつは、重心を体に近づけてバックパックを背負いやすくすること。そのため、休憩時にしか使わないガスバーナーやコッヘルなどの調理器具、食料や予備水などの重さがあるものは、中央の背中側へ収納すること。コッへル内の空きスペースを有効利用したり、必要な食料を厳選して持参するなど、できるだけバックパック内に小さく収納できるよう工夫することも大切だ。

下部
軽量で使用頻度が低いものは下部へ
防寒対策として待参するダウンジャケットや、山小屋での着替え、ソックスやシャツの替えなど、行動中に取り出す必要がないウエア類は下部や中央の外側へ収納しておこう。スキンケア道具や予備のタオルなどもこの場所へ収納するといい。ただし、スタッフパッグなどを利用してアイテムを分別しやすく、コンパクトにしておくことも忘れずに。スリーピングバッグを持参する必要がある場合なども、このソーンに収納しておこう。

サイド
ウエスト周りのポケットも有効活用!
パックパックはショルダーハーネスやウエストハーネスにポケットが付属したモデルが多数ある。これらのポケットは、パックパックを背負ったまま、ものの取り出しができるので大変便利だ。日焼け対策で使うリップクリームや目薬、撮影用のデジタルカメラなど、自分が頻繁に使うアイテムを入れておこう。パンジーコードに上着を挟めば、臨時的な収納場所として活用することもできる。

ポイント
スタッフサックを活用する
着替えやトイレ用具、スキンケアアイテムなど、小さな荷物はジャンル分けしてスタッフサックに収納しておくとスマート。雨で荷物が濡れるのを防ぐ効果もある。 アイテムによって使うバッグの色を変えておけば、ひと目で何が入っているのかもわかりやすい。日帰りや山小屋用など、どんなときにも必ず持って行く定番アイテムなどは常にまとめて収納しておくと事前準備もラクだ。

隙間をうめる
各ゾーンを隙間なく収納するのが上級者。ウエアやタオルなど、形を自在に変えられるアイテムを活用したり、カップや調理器具内の空きスペースに小物を入れるなど、バックパック内に無駄な隙間が空かないように工夫しよう。ウエア類は畳んで上に積み上げていくより、丸めて縦に並べた方が隙間もなく、取り出しやすい。

バックパックの性質を活かす
下部が開くタイプや2気室に分かれたものなど、バックパックにはさまざまな種類がある。自分が持っているバックパックがどのようなタイプかを知ったうえで、より有効な収納方法を実践しよう。 例えば、下部が開くパックパックならレインウエアは一番下に入れる。大きな背面ポケットが付いているものは、使用頻度の高いウエアを収納するなど、目的と自分のスタイルに合わせて、いろんな使い方にチャレンジしよう。